ドキドキの初対面
Bくんとは、共通の友人の紹介で知り合いました。
最初はLINEのやりとりから始まり、メッセージのテンポもよく、「なんとなく誠実そうな人だな」という印象を持ちました。
お互いの趣味や仕事のことを話すうちに、「1度会ってみたいね」となり、初めてのデートが決定。
どんな人なんだろう、何を話そうかな、と、当日まで少しドキドキしながら過ごしていました。
待ち合わせのカフェに現れた彼は、写真通りの優しげな雰囲気。第一印象も悪くありません。
この時までは、ちょっと期待もしていたのですが……。
ランチ中に感じた違和感
ところが、ランチが始まってほどなく、会話の流れが変わり始めました。
Bくんが話し出したのは、まさかの元カノの話。
最初は軽く思い出話かな? と流していましたが、
「元カノは料理が上手で〜」
「旅行はいつも俺がプラン立てて〜」
「最終的には価値観の違いで別れたんだよね」
と、どんどん深掘りしていくのは、元カノとの過去ばかり。
こちらはまだ、彼の好きな食べ物すら知らない状態なのに、元カノにまつわるエピソードばかりが続きます。
「あれ? この人、まだ引きずってるのかな」と、心にモヤモヤが広がりました。
「失敗したくないから」って……
その違和感が確信に変わったのは、彼のこんな一言でした。
「あ、元カノのことは引きずってないよ? ただ、失敗を繰り返したくなくて、新しく出会う人にはちゃんと伝えておきたいんだ」
真剣な表情でそう言われたけれど、私には全く響きませんでした。
たしかに、過去の恋愛から学ぶことは大切だとは思います。
でも、それってあえて初デートで言うことなのでしょうか?
なんだか“私”という人間を見てもらえていない気がして、なんとも言えない不快感が心に残ったのを覚えています。
ちゃんと今を歩ける人と
その後、Bくんからは何度か連絡が来ましたが、私はやんわりと距離を置きました。
初デートで抱いた違和感が、どうしても消えなかったのです。
そして数週間後、共通の友人から「Bくん、結局元カノとヨリを戻したらしいよ」と聞き、心の中で「やっぱりな!」と呟いてしまいました。
過去を共有することと、過去に生きることは違います。
今回の経験を通して、誰かの“過去の延長線”上で存在するのではなく、ちゃんと“今”を一緒に歩ける人を見つけたいと強く思いました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。