満席のランチタイム
私たち夫婦が営む、念願だった小さなカフェ。地元の野菜をふんだんに使い、真心を込めてお料理やスイーツを提供しています。
おかげさまでランチタイムには予約でいっぱいになり、連日満席状態。
ある日のランチタイムに、高校生の息子と母親らしき親子連れが来店してくれました、あいにくその日もお昼時は満席で、さらに何組かのお客様が待っておられる状況でした。
仕方なく諦めて帰ろうとされたお客様に話を聞くと、大学受験のために遠方から来ていて、感じのいいお店だったので入試の前に英気を養うために来店してくださったとのことでした。
合格したらまた来ます!
せっかく遠方から来店してくださったのに、満席で案内できないことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
もし受験する第一志望の大学に合格したらこの近くで一人暮らしをするとのことだったので、受験が上手くいくことを願いながら泣く泣く親子を見送り、「合格したときにはぜひまた来店してください」とお伝えしました。
「はい。合格して必ずまた来ます」とさわやかに言ってくださった息子さんの笑顔が印象的でした。
嬉しい再会と運命の出会い
そして春になり、再びその親子が本当に来店してくださったときはすごく嬉しかったです。
息子さんは無事に第一志望の大学に合格され、約束を忘れず、入学式の日に合格の報告を兼ねてお店を訪れてくださったのです。
合格のお祝いの気持ちも込めて、精一杯のお料理でおもてなししました。
お店を経営しているとお客様とのいろんな出会いがありますが、この出来事は数年経った今でも忘れられません。
その時の息子さんは大学生になってからバイト募集の貼り紙を見て、なんと今ではうちの店のスタッフとして、あのときの爽やかな笑顔で元気に働いてくれています。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2022年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kumi.M
保育士歴25年。ママたちの修羅場、バトルを多数目撃し、その経験を元にコラムニスト活動をスタート。アラフィフ主婦となった現在は、ママ友・育児・嫁姑問題などを、幅広い人脈を駆使してインタビューを行い、執筆する。