誰にでもある、ちょっとした油断。でも、その先に待っていた出来事は、想像の斜め上でした。今回は、筆者の知人・千秋さん(仮名)が体験した、自転車をめぐる驚きとモヤモヤのエピソードです。
いつものスーパーで
千秋さんは、仕事帰りにいつものスーパーへ立ち寄りました。
「ほんの10分くらいだし」と、自転車の鍵はかけずに駐輪場へ停め、店内に入りました。
目当ての食材をさっと選び、会計を済ませて外に出たそのとき、足がふと止まりました。
無い。自転車が、無いのです。
「きっと、警備スタッフが並べ替えたのね」
そう自分に言い聞かせながら、千秋さんは駐輪スペースの端から端まで歩きました。
けれど、どこにも見当たりません。
ついに、店員に声をかけ、いっしょに敷地内を探すことにしたそうです。
えっ、乗ってる!? 「それ、私のなんですけど」
店員と一緒に敷地内を回っていた千秋さんは、別の出入口で思わず足を止めました。
「あれ……」
そこには、見覚えのある自転車にまたがり、今まさに帰ろうとしている中年の女性が。
慌てて駆け寄り「あの、それ、私の自転車なんですけど」と声をかけると、女性はピタリと動きを止めました。
振り向いたその顔には、驚きというより、不機嫌そうな表情が浮かんでいたといいます。そして返ってきたのは、想像もしなかった言葉でした。