私たち大人が当たり前のように抱えている“固定概念”は、時に子どもたちの素直な心や自由な発想を曇らせてしまうことがあります。ある幼稚園の参観日。そこには、子どもたちの何気ない会話の中から、大人が学ばされる場面がありました。今回は筆者自身が体験した、色と性別にまつわる小さな出来事と、大きな気づきをご紹介します。
少しうつむいていたB君は、勇気を出して答えました。
「僕、消防車が好きだから。消防士さんになりたいから赤にしたんだ。」
その言葉に、Dちゃんは「それ、めっちゃかっこいいじゃん!」と声を弾ませ、他の子たちも「いいね!」「赤、似合ってるよ!」と次々に声をかけてくれました。B君パパはバツが悪そうに「理由があるなら早く言いなさい」と小さくつぶやき、そっと椅子に腰を下ろしました。
固定概念に気づかされた一日
私はその場面を目の当たりにしながら、深く考えさせられました。「男の子だから」「女の子だから」といった固定概念は、大人が知らず知らずのうちに抱えてしまっているもの。でも、色の好みに性別は関係ない。大切なのは、その子が「何を好きか」という気持ちです。
この日、私は自分の中にも残っていた古い価値観に気づきました。そして、子どもたちのまっすぐな「好き」に対して、どんなときも耳を傾けられる大人でありたいと心から思いました。
たった一日の参観日。でも、私にとっては、子どもたちの自由な感性と勇気から大きな学びをもらった、かけがえのない時間になりました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容をもとに、個人が特定されないよう構成しています。
ltnライター:北田怜子
経理事務・百貨店販売を経て、現在はWEBライターとして活動中。家事や育児と両立できる働き方を模索する中でライターの道へ。自身の体験を活かしながらリアルで共感を呼ぶ記事を多数執筆。人間関係・子育て・日常の“あるある”を中心に、女性に寄り添ったコンテンツを発信している。