息子の様子に違和感を覚えたある日
ある日、幼稚園から帰ってきた息子の様子がいつもと違うことに気づきました。普段は楽しそうにその日の出来事を話してくれるのに、その日はどこか元気がなく、沈んだ表情。以前は毎日のように話していた仲良しのA君の名前も、最近はめっきり聞かなくなっていました。その代わり、Bちゃんと遊んだ話ばかり。私は「お友達が増えてよかったな」と軽く受け止めていたのですが、この日、はじめてその裏にある息子の気持ちに触れることになります。
思わずこぼれた涙の理由
「今日はA君と遊んだ? それともBちゃん?」と軽く聞いたつもりが、息子は急にわっと泣き出しました。驚いて理由を尋ねると、「A君と遊びたかったのに、C君に『A君と遊ばないで! こっちに来ないで!』って言われた……」と、絞り出すように話してくれました。A君のことが大好きだった息子。遊びたい気持ちを抑えられずに近づいたものの、C君の強い言葉に傷ついてしまったのでしょう。その涙に、私は胸が締めつけられる思いでした。
先生の言葉で救われた気持ち
どう対応すれば良いか分からず、すぐに幼稚園の先生に相談しました。すると、「A君をめぐっての小さなトラブルは何度か見かけているけれど、仲良く遊んでいる日もありますよ」とのこと。「4歳は自我が育ち始める一方で、まだまだ言葉や気持ちの伝え方が未熟。こうしたトラブルはよくあることなので、気になるときはいつでも相談してくださいね」と優しく言ってくださいました。その言葉に、ひとりで抱え込まずに済む安心感がじんわり広がっていきました。
親としてできること、これから大切にしたいこと
今回の出来事を通じて、私は大切なことを学びました。もっと早く息子の気持ちに寄り添えていれば……と反省すると同時に、親である私自身も迷ったら誰かに相談していいのだと気づかされました。子育ては正解のない連続。でも、信頼できる人の存在が、親子の歩みに確かな道しるべを与えてくれます。
これからは息子に「困ったときは先生に相談していいんだよ」と、繰り返し伝えていきたい。友達との小さなすれ違いも、きっと成長の一部。親として過度に口出ししすぎず、でもしっかり寄り添いながら、共に乗り越えていきたいと心から思いました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容をもとに、個人が特定されないよう構成しています。
ltnライター:北田怜子
経理事務・百貨店販売を経て、現在はWEBライターとして活動中。家事や育児と両立できる働き方を模索する中でライターの道へ。自身の体験を活かしながらリアルで共感を呼ぶ記事を多数執筆。人間関係・子育て・日常の“あるある”を中心に、女性に寄り添ったコンテンツを発信している。