息子の勇気ある行動
先日、小学生の息子と2人で電車に乗ったときのこと。
普段は車移動が多い息子にとって、電車は特別な乗り物。そのときの車内は少し混雑していて、小柄な息子は座って私は立っていました。
そんな中、息子の斜め前あたりに高齢の男性がいたのです。
すると息子は、もぞもぞと立ち上がり、席を譲ろうとしました。私は「おっ、偉いじゃん」と心の中で拍手。
ところが、男性は「子どもなんかに譲られたくない!」とムスッとした顔で断ったのです。
まさかの反応にうつむく息子
息子はびっくりした顔をした後、真っ赤になってうつむきました。
初めて勇気を出して譲ろうとしたのに、まさかの反応。今にも泣きそうな息子に、私も悲しくなりました。
しかもその男性、「譲られたくない!」と言ったあとも、前にずっと立っていたので、気まずい雰囲気。
私は隣で小声で「大丈夫、気持ちは伝わったよ」と声をかけたけれど、息子はシュンとしたままでした。
救世主現る!
しばらくして、その男性は降りていきました。
すると、近くにいた女性が息子に「偉かったわねぇ。おばちゃんなら喜んで座っちゃうけどな」と声をかけてくれたのです。
息子は驚いた顔をし、そして「座りますか?」と言いました。
その女性は「あら! うれしい。次の駅まで座るわね。ありがとう」と言ったのです。
息子のしょんぼりしていた顔は、得意そうで満足そうな表情に変わりました。
経験から学んだこと、そして未来へのエール
電車を降りてから息子は言いました。
「譲ろうとして、怒られることもあるんだね」と。
私は「お母さんも驚いたよ。あれは悲しくなっちゃうよね。でも、譲ろうっていう気持ちと、それを実際にできることって、本当に素晴らしいことだよ」と伝えました。
子どもが公共の場で何かに挑戦するのは、思った以上に勇気がいる。でも思った反応とは違ってショックを受けてしまった息子。
そんなとき、息子の気持ちを大事にしてくれる大人がいることが、本当にありがたかったです。
次もきっと、もっと胸を張って席を譲れるね。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。