「まさか、いじめ……?」と心配になってしまうのですが――。
涙のワケを知って、胸が温かくなりました。
息子の涙のワケは?
ある日のこと、保育園から帰った息子が、ずっと泣いていました。
園では特にトラブルもなかったようで、先生に聞いても「今日はいつも通りでしたよ」とのこと。
ケガもしていないし、体調も問題なさそうです。
ですが息子は、目を真っ赤にしながら涙をぽろぽろとこぼし続けるのです。
「まさか、いじめ……?」
「なにか嫌なことでもあったの?」
そう尋ねても、まだ幼い息子はうまく説明できないようで、ただ「えーん」と泣くばかり。
「もしかして、いじめられているんじゃ……?」
嫌な胸騒ぎがし、親の私まで不安で押しつぶされそうになってしまいます。
一体、小さな息子の心を痛めている原因はなんだというのでしょうか。
驚きの理由
寝かしつける時間になって、ようやく落ち着いた様子の息子に、私はもう一度声をかけてみました。
「ねえ、今日はどうしてあんなに泣いていたの?」
布団にくるまった息子はしばらく考えると、ぽつりと言いました。
「今日Aくんがね、泣いてたの。おかえりの時間なのに、ママが来ないって。だから……ぼくも泣いちゃったの」
「えっ、Aくんのママが? ああ、そういうことだったの――」
それを聞いた瞬間、私は胸がきゅっとなりました。
息子がずっと泣いていたのは、自分のためじゃなかったのです。
母親のお迎えが遅れて不安そうに泣いていたお友達の心に寄り添い、一緒に悲しくなってしまったようでした。
お友達の心に共感できる息子を、たまらなく愛おしく思いました。
優しい子に育ってくれて、ありがとう
「Aくんの気持ちをわかってあげたんだね。えらいね」と頭を撫でると、息子はやっと笑って、安心したように眠りにつきました。
まだ赤ん坊のように思っていましたが、その小さな胸の中には、しっかりと思いやりの気持ちが育っていたことを、しみじみと気づかされた夜でした。
人の痛みに寄り添える、優しい子に育ってくれてありがとう。
私は、寝ている息子をそっと抱きしめたのでした。
【体験者:30代女性・パート主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。