当たり前だと思っていた価値観が、ある出来事をきっかけに揺らぐこともあります。それは時に、身近な人の痛みや変化を通じてやってくるものです。今回は筆者の知人が自分自身の【思い込み】について見つめ直したエピソードをお届けします。

やっと気づいた【古すぎる価値観】

私の言葉に対して、息子は静かにこう言いました。

「母さん、俺もこうなって改めて思ったけど、“手伝う”っていう感覚がそもそも間違ってたんだよ」

息子の言葉に、ハッとしました。

家事や育児は、夫が妻を“手伝う”ものではなく、夫婦が共に担うべきもの。
それなのに、私は無意識のうちに「妻がやるのが当然」と決めつけていたのです。

大切なことを見落としていた

私は家事や育児を一手に引き受けてきたことに充実感と誇りを感じていましたが、その価値観を“当たり前”だと思い込み、息子にも押しつけていました。

これまで当然と思っていた考え方が、息子にも知らず知らずのうちに影響を与えていたのかもしれません。

息子の離婚は、もう取り消せません。
でも、この気づきは、きっと無駄ではなかったと思いたいのです。

これからの人生、誰かを支える立場として、また母親として、「当たり前」にしてきたことを見直していきたい。
皮肉なものですが、息子の離婚が、私の価値観を静かに変えてくれた気がします。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。