当たり前だと思っていた価値観が、ある出来事をきっかけに揺らぐこともあります。それは時に、身近な人の痛みや変化を通じてやってくるものです。今回は筆者の知人が自分自身の【思い込み】について見つめ直したエピソードをお届けします。
当たり前だった“母親の役割”
私はずっと、子育てや家事は母親がするものだと思ってきました。
夫は仕事で忙しく、私が家のことをすべて切り盛りするのが当然。それが家族を支えるということだと信じ、誇りさえ感じていたのです。
だから息子が結婚した時も、無意識に「奥さんが家のことをするんだろうな」と思っていましたし、息子には「家庭を持ったんだから、仕事がんばるのよ」としか言いませんでした。
「男は仕事、女は家庭」という考えが、私の中に深く根付いていたのでしょう。
息子の離婚がもたらした衝撃
そんなある日、突然息子から「離婚することになった」と告げられました。
理由は「夫婦間のすれ違い」や「家事・育児の負担が妻にだけ偏っていたこと」だと言います。
それを聞いて、私はつい、「もう少し奥さんを手伝ってあげたらよかったのに」と言ってしまいました。
私の中の古い価値観が、そんな言葉を無意識に口から出してしまったのです。