家族というのは、時にあたたかく、時に息苦しいものです。特に義理の家族との関係は、難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。今回は筆者の友人が義実家で体験したという、「忘れられない出来事」をご紹介します。

夫の反撃

その時です。夫の低くはっきりとした声が響きました。

「今の、笑って済ませることじゃないだろ」

その瞬間、リビングの空気がピンと張りつめました。
さらに、夫は義兄嫁をまっすぐに見据え、

「俺たちが不妊治療してるの、知ってるよね。体も心もキツいけど、それでもがんばってるんだよ。そんな人間に向かって、“子なしでラク”って言うのは、どう考えても酷すぎる」

と言いました。そして、

「わかんないなら黙っててほしい。俺の妻を、軽く扱わないでくれ」

と、私のことをかばってくれたのです。

あの一言が、今の私を支えている

一瞬、誰も何も言えませんでした。
その後、義兄が「あの、ごめん、本当に……」と謝罪し、義母も「軽く聞こえちゃったなら、私も悪かったわ」とポツリ。

義兄嫁は顔を真っ赤にして、黙り込んでいました。

あの日、もし夫が笑ってごまかしていたら、私は心に深い傷を負っていたと思います。
しかし、夫は私のために立ち上がってくれました。

思いやりや優しさは、ただ寄り添うだけじゃない。
ちゃんと「それは違う」と言える強さが、本当の優しさなのかもしれないと思った出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。