子育てをしていると、つい子どもの将来を案じて、あれこれと口出ししてしまいそうになりますよね。けれど、『良かれと思って』の一言が、思わぬすれ違いを生むこともあるようです。今回は筆者の知人のエピソードをご紹介します。
「結婚=幸せ」と信じて
娘が20代後半を迎えた頃から、私はずっと「早く結婚しなさい」と言い続けていました。
周囲の友人が孫の話をするたびに、「それに比べてうちの娘は……」と焦りを感じ、急かしてしまっていたのです。
「うかうかしてると、いい人がいなくなっちゃうわよ」
「出会いは年齢を重ねるごとに減っていくのよ」
顔を合わせるたびにそんな言葉をかける私に、娘は「分かってるよ。お母さんったら、心配性なんだから」と苦笑していたものでした。
母と娘のあいだにできた溝
娘の幸せを思ってのことでしたが、娘からすると、それは古い価値観の押し付けにしか過ぎなかったのかもしれません。
最初こそ笑って返してくれていた娘も、次第に無言になり、やがて私が結婚のことを口にするたびに、表情を曇らせ、返事をすることも少なくなりました。