これは今も住んでいる戸建に引っ越してきたばかりの時のことです。夏に私は新居のベランダに出て蚊取り線香に火をつけ、椅子に座って読書をはじめました。この習慣は子どものころから慣れ親しんだもので、煙が緩やかに立ち上るのを見ながら、「これで蚊に悩まされずに済む」と、少し安心した気持ちに。
私の中では、ごく自然な夏の風景で、誰かにとって迷惑になっているなんて、想像もしなかったのです。