思わぬアクシデント! ボールが消えたその先は
ある日、小学生4年生の息子が友だちと公園で野球をしていたときのことです。放ったボールが大きくそれて、近くのお宅の庭へ飛び込んでしまいました。
「どうしよう……」と戸惑う子どもたち。
その家は昔からある、ちょっと年季の入ったおうち。迷った末、インターホンを押して、おうちの方に事情を説明しました。
草むらに消えたボール、必死の捜索
インターホン越しに「探していいよ」と言ってくれたそうで、息子たちはお礼を言って、庭でボールを探し始めました。
ところがその庭、草がものすごく生い茂っていて、まったく手入れされていない様子。
ボールがどこに落ちたのかもまったくわからない。必死で探すも見つからず、結局あきらめて帰ってきました。
「ボールを失くしちゃった」と、事情を話してしょんぼりする息子。
「ちゃんと許可を取って探したのはえらいね」と私は声をかけました。
しかし内心、その家は草がものすごく、私もなんとなく避けていたお宅。「ご近所トラブルにならなくてよかった……」と、ホッとしていました。
数日後のサプライズ!
そして数日後。また公園に行こうとそのお宅の前を通った息子たち。
ふと見ると、門の前に見覚えのある野球ボールがちょこんと置かれていたのです。
「おれのボールだ!」と喜んだ息子は、友だちと一緒にもう一度その家を訪ね、お礼を言うことに。
「ボールありがとうございました!」という息子に、出てきた男性は、にこにこしながらこう言いました。
「いや〜、うちの庭、草がすごくてボールも見つからなくなってたなんてね。あのあと一念発起して草取りしたんだよ!」
案内された庭は、以前とは見違えるようにスッキリ。おじさんは笑いながら「これで今度からはボールもすぐ見つかるよ」と冗談めかして言ってくれたのです。
ご近所の新しい一面、息子がつないだ交流の輪
私も公園へ行くたびに、「この家、草がすごいな……」と思い、なんとなく避けていたその家。しかし、息子の行動を通じて、思いがけない気持ちの良いご近所交流が生まれたのです。
「草がすごい家=ちょっと近寄りがたい」と勝手に思い込んでいたのは私の方だったと、反省した出来事でした。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。