筆者の話です。
私の地元には、嫁入り道具として「お人形を持たせる風習」があります。
母と一緒に選んだ大切な人形でしたが、義母の「かわいい」という一言で──
私の地元には、嫁入り道具として「お人形を持たせる風習」があります。
母と一緒に選んだ大切な人形でしたが、義母の「かわいい」という一言で──
嫁入り道具の人形
私の地元には、結婚の際に「お人形を持たせる風習」があります。
結婚前、母と一緒に訪れた展示会で、お気に入りの人形を1時間かけて選びました。
その人形は、私の大好きな作家さんの一点物。
柔らかな表情に惹かれ、母と相談しながら丁寧に選んだ記憶があります。
「大事にするね」
そう母に伝え、嫁入り道具として持たせてもらいました。
義母の手に渡って
けれど結婚後、荷ほどきの最中にその人形を見た義母が「かわいいわね」と言って手に取り、まるで自分のもののように飾ってしまったのです。
転勤族の生活が始まったばかりで、人形が傷つくのも心配でした。
だから「義実家に置いておこう」と自分を納得させ、預けた形にしました。
けれど、それ以来行くたびに義母は「やっぱりこれが一番ね」と自慢げに話し、返してとは言い出せませんでした。
代わりの贈り物
義母が気に入っているのならと、誕生日や母の日には、同じ作家さんの人形を贈りました。
でも、義母はいつも「これが一番」と言って、最初の人形を手放そうとはしません。
私の気持ちも伝わらず、義母を否定することもできず、ただただモヤモヤが募るばかりでした。