筆者の話です。
推しグループのコンサートで、前方の席にいた観客の行動に振り回された出来事がありました。
せっかくの楽しい空間でも、マナーが守られないと台無しになることがあるのだと実感した体験談です。

開演前の違和感

私には10年来応援しているアイドルグループがあります。
今回は地方都市でのツアー初日。
久しぶりの現地参戦で、運よくアリーナ席が当たり、友人とふたりで開演を心待ちにしていました。

ところが、前方のブロックにいた観客のひとりが、ひときわ目立つ行動をしていたのです。
その人は席に着くなり、靴を厚底靴に履き替え、目立つようなつばの広い帽子に、うちわを頭の上まで高々と掲げて振っていました。

ルール無視の行動にモヤモヤ

アリーナ席は平面のため、前の人の行動はそのまま後方の視界に影響します。
うちわは胸の高さまでというルールがあるのですが、その人は完全に無視。
ステージは、彼女のつばの広い帽子とうちわが私たちの視界を遮る状況が続きました。

「ルール、知らないのかな……」
私と友人は顔を見合わせるばかり。
楽しみにしていたはずのライブなのに、だんだんモヤモヤが募っていきました。

思い切った一歩に拍手が起きた

そんなとき、前の列にいた女性が立ち上がり、
「邪魔ですよね、行ってきます!」
と小走りで、その人の元へ向かっていってくれました。

注意された当の本人は、すぐに帽子とうちわを外してくれたようで、視界が一気に開けました。
戻ってきた女性に、私たちのブロックから拍手が起きます。
大声を出すわけでもなく、落ち着いた態度で伝えてくれたからこそ、まわりも素直に感謝できたのかもしれません。

マナーは「自分のため」だけじゃない

視界が戻ると、ようやくコンサートに集中できるようになり、開演後は私たちも思いきり楽しめました。
誰しも盛り上がりたい気持ちはわかります。
推しに認識してもらってファンサービスを受けられたら最高に幸せです。
目を引く格好をすると、推しに気づいてもらうことができるかもしれません。

でも、自分のまわりにいる多くの人たちも同じ気持ちなのです。
お互いに気持ちよく過ごせる空間こそが、ライブの醍醐味だと改めて感じた出来事でした。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。