静寂に包まれたキャンプ場で
週末に私たちが家族で訪れたのは、区画で区切られた静かなキャンプ場。
そこで自分のテントの中にいると、意外なほど外の声がよく響きます。まるで隣で話しているかのように、隣サイトの会話やテント内の話し声まで筒抜けになることも。
その日は周囲も家族連れが多く、隣には赤ちゃん連れのベテランキャンパーがテントを張っていました。
夜中に響いた怒鳴り声
その夜のこと。案の定というべきか、隣のテントで、赤ちゃんが何度も夜泣きをしていました。
私は泣き声が気になりましたが、こちらも小学生の子連れ。お互い様だし、とくに気に留めずにいました。
ところが夜中2時ごろ、「うるさいんだけど! せっかくキャンプに来てるっていうのに!」と男の怒鳴り声が響いたのです。
私はテントからそっと外を覗きました。すると、斜め向かいの中年男性キャンパーが、隣の赤ちゃん連れの家族に向かって怒っていたのです。
赤ちゃんの親は平謝り。その後も申し訳なさそうに、夜泣きのたびに外に出てあやしていました。
朝のキャンプ場に広がる騒動
しかし翌朝。周りはまだ寝ている早朝の早い時間帯。
怒鳴ったあの中年男性のテントエリアに、娘家族らしき団体が合流してきたのです。
そして孫らしき中学生くらいの子どもたちが始めたのは、ドッジボール合戦。
周りはまだ寝ているシンとした時間にも関わらず、それはそれは大騒ぎ。
テントサイト中を中学生が駆け回り、ものすごい勢いのボールがあっちこっちに侵入、ギャーギャーとはしゃいでいたのです。
キャンプ場の朝は静かに食事の準備をする人が多く、大声を聞くことはありません。それもあり、朝からハイテンションの中学生に、私は圧倒されてしまいました。
“お互い様”の心を忘れずに
そんな中、騒ぎを知ったスタッフが見回りに来て、中年男性に一言。
「他のお客様から苦情が出ています。このキャンプ場はボール遊びは禁止です」。
男性はバツが悪そうに謝り、その後、昼前には撤収していきました。
“お互い様”の精神って、アウトドアでは本当に大切。
「人に厳しくする前に、自分のことも見直してほしい」そう思わされた出来事でした。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。