年に1回しか会えない母
40代になる私には、後期高齢者の年齢に突入した母がいます。
新幹線の距離に住んでおり、1年に1回ほどしか会えません。
子どもが赤ちゃんや未就園児だった頃は、母に対して「助けて~」と思うことがとても多かったのですが、子どもたちが幼稚園児や小学生へと成長していくと、そこまで母の助けを借りたいと思うことは徐々に減っていきました。
お土産をあんなに断ったのに
そんななか、母が数年ぶりに我が家へ遊びにくることになりました。
母は毎回大量の総菜やお菓子を買ってきてくれるのですが、なにせ大荷物で新幹線の長旅となるため、「身軽に来てほしいから、今回お菓子を買ってこないで。干しシイタケとみかんだけお願い」とリクエストしました。ほしいものを限定すれば、それ以外は買ってこないのではないかと思ったのです。
しかし、結局母は大量の生菓子を持参。
お金を使わせることも申し訳なく、年齢も重ねている中、移動が大変だからとあれだけ固辞したのに、愛情が深すぎるゆえなのか、ご当地のお菓子に、干しシイタケとみかんもたくさん買ってきてくれたのです。ありがたくも恐縮してしまう私……。
働き者すぎる母
母は我が家へ着くなり、ゆっくりせずに、台所を掃除してくれたり、夕飯の仕込みに入ったりします。
私も少々疲れていたため、ソファで横になっていたのですが、掃除の道具や調味料のありかを聞いてきたりと、私自身も落ち着きません。「ご飯の支度はあとでやるからいいよ」と言っても働き者ゆえゆっくりしようとしないので、私も休めません。
難しい距離感
また、洗面台の掃除までされて、息子の抜けた歯を捨てられそうになったりもしました。排水溝にペットボトルのキャップを流してしまい、詰まってしまうなど、せっかくの母の親切がありがた迷惑となっている事実も。
結局、持ってきたお菓子についても「腐る前に早く食べちゃいなさいね!」というセリフを滞在中に何度も言われ、何かとプレッシャーを与えられていると感じてしまいました。
私のことを思ってやってくれているのはわかります。遠く離れているので難しいのですが、どこかで1日会うか、どこかへ泊まりに行くなどしたほうが、互いの領域を守れる付き合い方ができるような気もしています。
母と娘の距離感、難しいですね……。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:長橋知子
38歳で未経験からWEB広告制作の在宅ワークに挑戦し、セールスライター・WEBライターとして活動をスタート。読者に寄り添うライティングを大切にしている。特に、人間関係や育児、地域活動、女性の生き方に関するテーマが得意。また、noteで赤裸々エッセイを発信し、Kindle書籍も出版。「どんな自分でも生きていける」社会の実現を目指して奮闘中。