夫婦といえど、価値観のズレやすれ違いは避けられないもの。時にはそれが原因で夫婦関係が破綻してしまうこともあるでしょう。今回はそんな夫婦の危機を思わぬ形で乗り越えた、筆者の友人のエピソードをお届けします。
すれ違いの日々と決意
結婚して5年。私は離婚を決意しました。
夫は朝から晩まで仕事漬けで、家事や育児といった家庭のことはほとんど私任せ。
「少しは手伝って」と何度伝えても、「仕事が忙しいんだ」と取り合ってもらえませんでした。
話し合いを重ねても、すれ違うばかり。
このままではもう無理だと悟り、ついに離婚へ向けてお互い弁護士に相談することになったのです。
待合室での“まさか”の遭遇
予約した日、弁護士事務所の待合室に入り、緊張したまま席についた私。
ふと扉が開いた瞬間、思わず息を呑みました。
入ってきたのは、なんと夫だったのです!
一瞬、夫の目も見開かれ、空気が凍りつきました。
沈黙を破って、夫がポツリと口を開きました。
「……家事も育児も、全部1人でやらせて悪かった。でも、仕事も本当に大変なんだ。少しは分かってほしい」
私は言いました。
「私だって毎日ギリギリなの。1人で全部抱えるのは、もう限界」
それは、お互いにこれまで口にできなかった本音でした。