当時は分からなかった親の気持ちも、自分が親になってようやく理解できることってありますよね。今回は子どもの成長をきっかけに、親子の関係を見つめ直すことになったエピソードを、筆者の友人が聞かせてくれました。

私の選択と母の心

それでも結局、私は自分の意志を貫き、美大に進みました。
自分の選んだ道に、今でも後悔はありません。
しかし、美大進学を告げた時の母の複雑そうな表情は、今でも私の心に残っています。

あの時、母はどんな気持ちだったのでしょうか。
今、自分が親になってみて、少しだけ母の気持ちが分かるような気がします。
母と同じように、「本当にそれで大丈夫?」と心配してしまう自分が、確かにいるのです。

きっと当時の母も、子どもを思うがゆえに心配だったのでしょう。親は、子が将来困難に直面しないよう、無意識のうちに安全な道を示してしまうものなのかもしれません。

「決めて良い」の重み

いつか私もわが子に「自分で決めて良いよ」と言う日が来るかもしれません。
その時には、ちゃんとその言葉の重さを受け止めていたいと思います。

それは、「好きにしなさい」と突き放すことではないし、「こうしてほしい」という誘導でもない。
子どもがどんな道を選んでも、その決断を尊重し、必要な時に寄り添い、共に考えていくこと。
今度は支える側として、私自身がかつて感じた思いを忘れずにいたいものです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。