当時は分からなかった親の気持ちも、自分が親になってようやく理解できることってありますよね。今回は子どもの成長をきっかけに、親子の関係を見つめ直すことになったエピソードを、筆者の友人が聞かせてくれました。
「自分で決めて良い」と言われて
高校2年生の頃、進路について悩んでいた私に、母は「自由に決めて良いよ」と言ってくれました。
「自分の好きなように未来を選んでいいんだ!」と、心の中が希望でいっぱいになったのを覚えています。
それから私は、本気で自分と向き合いました。何がしたいのか、どこに向かいたいのか。
結果、私が出した答えは「美大に進む」ということでした。
予想外の母の反応
しかし、意気揚々と進路を打ち明けた瞬間、母の表情が曇りました。
「美大なんて行って、将来食べていけるの?」
「本当に向いていると思ってる?」
あれ? 自分で決めて良いって言ってくれたのに……。
後になって、あの時の「自由に決めて良いよ」という言葉には、実は隠された意味があったのだと気づきました。
そこには「親が描く子の将来という期待の範疇で“自由に”選んでほしい」という、見えない枠が存在したのかもしれません。
自由だと思っていた選択が、一瞬にして不安定なものに感じられました。