事情
私は飲食店を営む両親の1人娘として育ちました。
幼い頃は仲の良かった両親も、私が高校生の頃から喧嘩が目立つようになり、大学卒業後には離婚してしまいました。
私は母と一緒に生活することになりましたが、心を病んでしまった母は働けず……もともとの派手好きな性格は治らなかったので、母親が他界した後も借金だけが残り、返済の日々。
結婚・出産などは考えられず、自分では決して幸せとは言えない人生だと感じていました。
連絡
私は大学時代サークルに入っていて、その先輩や友人達とは年賀状程度のお付き合いが続いていました。
ある日、1つ上の先輩・K美さんから急に連絡が入り、「久しぶりに会いたい」と言ってきたのです。
K美さんとはそれほど仲が良かったわけでもなく、卒業後の進路もまったく別分野。
結婚して子どもがいることは聞いていましたが、卒業以来会っていない関係だったので、ちょっと不思議に感じたのですが、とりあえず一緒に食事をすることを決めたのです。
自慢
当日、久しぶりに会ったK美さんは、ちょっと派手な感じになっていて、持ち物などをいちいち自慢してくる嫌なタイプに変貌していました。
私の事情を知っているにもかかわらず「結婚はしないの?」「そろそろ子ども産まないと大変じゃない?」など、神経を逆なでするようなことばかり言うのです。
そして自分の幸せ自慢も忘れずに「最高の旦那さんと結婚できた♡」「子ども達も優秀で♪」など、いかに私とは違う人生を送っているのかということを見せつけてきました。
復讐
K美さんの自慢が嫌になってきた私は、「この後予定があるので帰ります。」と伝えました。
するとK美さんは「あら。R子でも予定があるんだ? てっきり1人で寂しい生活しているのかと思った。」と言い放ったのです。
私はつい頭に来て「大丈夫です。私、先輩の幸せに興味がないので、帰りたいだけです。」と言ってしまいました。
呆然としたK美さんを見て、私は言い過ぎたかなと思いましたが、ちょっとぐらいの嫌味は許してほしいくらい私の心はいっぱいいっぱいでした。
後日友人にそれを話したところ、K美さんはどこからか私の身の上話を聞きつけたらしく、単にからかい半分、つまり面白がってコンタクトを取ってきたということだったようです。
自分が幸せの絶好調にいたので、それを自慢して良い気分になりたかったのでしょう。
このことから、相手の状況や気持ちを考えずに自分のエゴを押し付けるのは、本当に良くない事だと実感しました。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。