お友だちとお菓子のやりとり
ある日、小学生の息子が「Aくんからおせんべいもらった!」とうれしそうに帰ってきました。
息子はそのおせんべいがとてもうれしかったようで、帰宅してすぐに「何かお返ししたい」と言ったのです。
おせんべい1枚のお返しは、まさかの!?
「ちゃんと『ありがとう』って言った?」と聞くと、「うん、言ったよ!」と元気な返事。
そこは安心しましたが、問題はここから。
「おせんべいもらったから、きれいな箱に入ったクッキーとかあげようかな」と言う息子。
「いやいや、それはちょっと過剰すぎだから! 」心の中でツッコむ私。
「ちょうどいい加減」のバランス
私は、「お返ししたいっていう気持ちは素敵だけど、おせんべい1枚に箱入りのお菓子は、相手もびっくりしちゃうかもよ」とやんわり伝えました。
日ごろから、何かもらったときは「お返し何にしようかな」「これはお礼の気持ちのお返しだよ」と話してきたけれど、その教えがまっすぐ育ちすぎた様子。
「じゃあ、今度会ったときにちょっとしたお菓子をあげたら?」と提案しても、「ちゃんとしたものをあげたい」と譲らない息子。
律儀なのは立派だけれど、ちょうどいい“お返しの塩梅”をどう伝えればいいのか、私は迷ってしまいました。
シンプルな気持ちのやりとりが教えてくれたこと
数日後、息子は「Aくん、のりしお味のスナック好きなんだって!」とリサーチして帰宅。
結局、そのスナックを1袋買って、遊ぶ約束の日に「これ、この前のおせんべいのお返しね。ありがとう!」と渡していました。
Aくんは喜んでくれたようで、2人で仲良くスナック菓子を食べたと息子に聞きました。
ホッとしつつも、私は少し考えてしまったのです。
子ども同士のやりとりは、大人が思うよりずっとシンプルで、素直な気持ちが行き交っています。でも、だからこそ、あまりにも立派すぎる“お返し”が常識になってしまうのも違う。
今回はたまたま良い形に落ち着いたけれど、今後も同じような場面が出てきたとき、どう伝えていくのがいいのだろうと。
お返しの気持ちは大切。でも、やりすぎない加減を学ばせるのも、親の役目。ほほえましくも、ちょっぴり悩ましい出来事でした。
【体験者:30代・会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。