子供の頃から母は私に冷たく、弟ばかりかわいがっていると感じていました。
大人になり関係は穏やかになったものの、ある日ふとこぼした一言で、母の意外な本音を聞くことになったのです。
姉だからと我慢の日々
私は弟と二人姉弟。
子供の頃から、母は私に冷たかった印象があります。
お姉さんだからと我慢させられることも多く、「弟の方がかわいいんだろうな」 と感じる場面が何度もありました。
寂しい気持ちを抱えながらも、当時は母に嫌われるのが怖くて、気持ちを確認することができませんでした。
弟は甘え上手で、母もつい手を焼きながらも笑顔で応えていたのをよく覚えています。
大人になっても残る違和感
大人になるにつれて、女同士の話をしたり、一緒に買い物に行ったりする機会が増え、表面的には穏やかな関係を築けるようになっていました。
でも、あの頃の「好かれていないのかもしれない」 という不安が、ずっと心の奥に残っていたのです。
今は弟も私も実家を離れて暮らしていますが、母は買い物中も「あの子はちゃんと生活してるかしら?」 と弟のことばかり。
私が「わからないよ」 と答えても、何度も聞いてきます。
このやり取りがあまりにも繰り返されるので、心の中で「私は二の次なの?」 とため息をつくこともありました。
思わず出た本音
その日もまた弟の話題が続き、私はイライラが募っていました。
そして買い物帰り、とうとう我慢できず「弟じゃなくてごめんね。私のこと嫌いだったでしょ? 今度は弟を誘ったら?」 と口にしてしまったのです。
困るだろうとわかっていながら、意地悪な気持ちが止められませんでした。
母は驚いたように私を見て、傷ついた顔をしました。
その表情を見て罪悪感が湧きましたが、心のどこかで「やっと言えた」 という気持ちもありました。
母の言葉で少し縮まった距離
しばらく沈黙が流れたあと、母は静かに言いました。
「あなたはしっかりしているし、私に似ているから……自分の短所を見ているみたいで、ついきつく言ってしまったの。ごめんなさいね」
母に似ているとは思っていなかった私。
でも、母にも母なりの葛藤があったのだとわかり、少しだけ距離が縮まった気がしました。
言葉にしてしまった後悔と母の胸の内を知れた安堵感。
あの日のやり取りは、今も忘れられない思い出として胸に残っています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。