友人を新居に招いて
当時Tさんは結婚して、新築一戸建ての新居に引っ越したばかりでした。
「新築一戸建てってすごいね! 子ども連れて遊びに行っていい?」
学生時代からの友人が3歳の子どもを連れて遊びに来たいと言うので、Tさんは快諾しました。
「ぜひ来て! ご飯用意して待ってるね」
そして友人とその子どもが来る当日、Tさんは子どもの喜びそうなハンバーグやナポリタンスパゲッティを作り、お子様ランチのようにワンプレートで出しました。
「わあ、手作り? 凝ってるね……」
友人は食事よりも新築の家に興味津々の様子で、食卓についた子どもをTさんに任せて家の中のあちこちを見て回っています。
「さあ、召し上がれ」
Tさんが友人の子にご飯を食べさせようとすると、子どもはいきなり付け合わせの野菜を掴んで床に投げ捨てました。
「えっ!? 食べものを投げちゃダメだよ」
食べものを粗末にする子どもを
「あー、うちの子野菜食べないんだよね」
Tさんが驚いているのをよそに、友人は笑っているだけで子どもを全く注意しません。
「こんなのもあんま食べないし」
Tさんが作ったハンバーグとナポリタンを指さし、友人は苦笑いしました。
「こんなのいらない!」
子どもがまたプレートの上の野菜を床に投げ捨て、わざわざ椅子から降りてソースのついた野菜を踏みつぶして遊び始めました。
「あーあ、飽きちゃったんだよね」
友人は子どもが食べものを粗末にしているのを叱りもせずに見ています。
「せっかくの新築なのに汚れちゃったねー」
床にはハンバーグソースのついた子どもの足あとが点々と散らばっています。
結局友人は床に落ちたものを拾うことも、子どもを叱ることもせずに帰っていきました。
Tさんはこの出来事を通して、友人との関係性や子育てに対する価値観の違いについて深く考えさせられたと言います。ソースで汚れた床を掃除しながら、友人とは距離を置くことを決めたそうです。
子どもが食べものを粗末にして、人のお家を汚している状況を目の当たりにすると、親としてどのように対応すべきか、考えさせられます。幼い子どもへの食育やマナーについて、改めて深く考えるきっかけとなるお話でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。