共働き夫婦の葛藤
私と夫は結婚して5年。共働きで3歳の子どもを育てています。
毎日仕事と家事育児に追われ、分刻みのスケジュールをこなす日々。
夫にも家事や育児を頼んでいましたが、それでも負担は圧倒的に私のほうが大きく、「もっと手伝って!」が口癖になっていきました。
夫も疲れているだろうに……と思いながらも、1人で抱えきれず、ついイライラをぶつけてしまうことも。
ギスギスした雰囲気が常に家庭内に漂っていましたが、どうすることもできませんでした。
日ごろの鬱憤が爆発
ある日の夜、頼んでいた洗濯が終わっていないことに気づき、思わず私は「手伝ってって言ったよね!?」と声を荒げました。
夫はムッとした表情を浮かべ、「手伝ってるつもりだけど」と反論。その後は気まずい沈黙が続き、お互いに苛立ちを抱えたまま、背を向けて眠りにつきました。
モヤモヤに気づかされた言葉
翌朝、職場の先輩と子育ての話をしていた時のことです。
「“手伝う”って言葉、まるで“本来やるべき人”が別にいて、それを一時的に代わってあげてる、みたいに聞こえるんだよね」という先輩の言葉に、私はハッとしました。
確かに、私は夫を助っ人扱いしていたのかもしれません。
自分が当たり前に背負う前提で、「お願い」していた私自身のスタンスに、気づかされたのです。
家事も育児も、夫婦が一緒に担うべき“共同責任”なのに……。
些細な言葉でも
先輩の言葉が心に引っかかっていた私は、ふと思い立ちました。
「“手伝って”じゃなくて“一緒にやろう”って言ってみたら、何か変わるかも」と。
そしてその日の夕食後、私は試しに「片付け、一緒にやろう」と夫に声をかけてみたのです。
すると、夫は穏やかに「うん、やろうか」と応じてくれました。
さらに私が「ありがとう」と伝えると、夫は少し照れくさそうに「俺も気づかなくてごめん。料理してもらってるんだから片付けは俺がしないとな」と言ってくれたのです。
その言葉に、胸のつかえが下りたような気がしました。
対等であるための言葉選び
夫を「育てる」のではなく、対等なパートナーとして接する。それが夫婦のあるべき姿なのだと、改めて気づかされました。
「手伝って」という言葉には、“メインの担当は私”という前提がにじんでしまう。だからこそ、「一緒にやろう」というフラットな言葉が、夫婦の関係性まで変えていくのだと実感した出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。