子供時代には自分の家庭しか知らず、それが当然だと考え育つケースは多いでしょう。いざ自分が大人になったとき、周囲と比較して「自分の家は変わっていたんだ!」「こんな家庭もあるんだ!」と驚愕した経験はありませんか? 今回は筆者自身が大人になり、母の偉大さに気がついたエピソードを紹介します。

にぎやかな我が家

私の子供時代、実家にはいつも人が集い、にぎやかな家庭で育ちました。

我が家はマンションで年齢の近い子供を持つ家庭が多かったこともあり、マンションの住人はみんな知り合い。
夜になると近所の子供やマンションの子供たちが我が家で一緒に夜ご飯を食べることも珍しくありません。

多くの家庭では夕食時になれば、子供に帰宅をうながしたり、よその子が帰宅してから夕飯を始めたりしますよね。
しかし、我が家では当たり前のように、よその子も一緒に夜ご飯を食べていて、私自身もそれが普通のことだと思っていました。

大人になって

大人になるにつれて、毎日よその子供が夜まで家にいる状況は普通ではなかったとわかってきました。

ふと母に「子供のころ、毎日近所の子が一緒に夜ご飯食べてたじゃない? あれってお母さんが子供好きだからとかそんな理由で、あんなにみんなの面倒見ていたの?」と尋ねてみたのです。

このなんとなくした質問で、驚きの真実と母の偉大さを知ることになりました。

真実

母は「あなたも大人になったいまだから言えるけど……。」と当時のことを話し始めました。

実は当時、近所で親しくしていた母親たちの多くが不倫に溺れていたそうです。
母親たちが不倫に夢中になった結果、母の帰宅が遅く家に入れない子供が夕方1人でマンションの前で遊んでいたり、1人ぼっちで夜ご飯を食べていたり、さみしい思いをすることが増えていきました。

なかには子供を不倫相手に会わせる方も出てきたそうです。

そんな状況を見て、母は周囲の母親たちに「子供のためにも不倫はやめましょう。」と説得したそうですが、彼女らは「私は母親である前に1人の女性なのよ!」と聞く耳を持たなかったんだとか。

そこで母は近所の子供たちを家にまねき、さみしい思いをさせないようにと毎日笑顔で食卓を囲んでいたそうです。

まとめ

大人になったいま、私が思うことは、我が子が1人であっても、子育ては簡単でありません。

それなのに他人の子供にまで、全力で愛を注いだ母を尊敬します。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。