キレイなシーグラス
Cさんは当時、家の庭に敷き詰めた砂利にシーグラスという、よく海岸などに落ちている、波にもまれて角が取れ、曇りガラスのような風合いになったガラスのかけらを混ぜていました。
「わあ、キレイ」
実際に海に行って拾ったり、時には通販で買ったりして集めたシーグラスは庭の白い砂利の中でとてもキレイに映えるため、Cさんの小学生の子供たちも喜んでいます。
「もっといっぱい混ぜよう!」
休日に旦那さんと子供たちと一緒に海や川に行き、シーグラスを集めるのもCさん家族のお楽しみでした。
しかしある時、砂利に混ぜているシーグラスが減っていることに気づいたCさん。
「おかしいな、もっといっぱいあったはずなのに……」
シーグラスが減った理由
「シーグラス、家に持って入った?」
子供たちが家の中に持って入っているのかと思ったので聞いてみると、子供たちも知らないと首を横に振りました。
しかし日に日にシーグラスは減っていく一方だったので、Cさんは不思議に思っていました。
そんなある日、たまたまCさんが仕事を休んで家の用事をしていると、子供たちが学校にいる時間にもかかわらず庭で小さな子供の声がしました。
「ん? 誰だろう……」
窓からそっと見てみると、Cさんは目を疑いました。
「ママ、宝物あった!」
なんとご近所の幼稚園児とその母親が勝手にCさんの家の庭に入り、砂利にしゃがみこんで宝探しのようにシーグラスを集めていたのです。
「ウソでしょ」
顔見知りの親子だったので、さすがにCさんも驚き、庭に出て勝手に庭に入らないで欲しいと注意しました。
「す、すみません! あんまりキレイだったので」
どうやらその親子はCさんが家にいるとは思わなかったようで、慌てて庭を出て行きました。
それ以降シーグラスが減ることはなくなりましたが、今まで集めたシーグラスは返してもらえませんでした。
何より勝手に庭に入って石を拾うのは非常識だと思い、そのご近所さんとは距離を置いたそうです。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※窃盗・詐欺は犯罪行為です
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。