胸の痛みを抱えたまま、眠れぬ夜を過ごしていると、隣に眠る娘が寝言で――?
親子のまっすぐな愛情に、思わず涙してしまうエピソードです。
娘にイライラをぶつけてしまい……
夜中、ふと目を覚ましました。
隣を見ると、5歳の娘が、私に寄り添ってスヤスヤ眠っています。
その日は朝から仕事が忙しく、疲れもたまっていた私は、完全に余裕をなくしていました。
そのせいか、娘のちょっとしたいたずらにイライラしてしまい、普段なら笑って済ませるような場面で、きつく叱りつけてしまったのです。
寝かしつけのときも、いつものように優しく接することができず、淡々と絵本を読み聞かせ、そっけなく「おやすみ」と言って布団に入ってしまいました。
「おかあさん、だいすき」
そのことを思い出しながら、娘の寝顔を見ていると、強い後悔の念が押し寄せてきました。
この子はかけがえのない、世界で一番大切な宝物。
なのにどうして、あんな風に当たってしまったのだろう。
私は、母親失格だ――。
眠る娘をギュッと抱きしめると、耳元でふいに小さな声が聞こえました。
「おかあさん、だいすき」
娘の寝言でした。
ムニャムニャと幸せそうな寝顔を浮かべながら、もう一度繰り返します。
「だいすきだよ」
ぐっすり眠っている娘の表情は、安心しきっています。
私はその無防備な寝顔を見つめながら、胸の奥がぎゅっと締めつけられる思いがしました。
娘の愛情に涙
あんなに怒ってしまったのに、私の夢を見てくれているの? 大好きでいてくれるの?
いつのまにか、目ににじむ涙で視界がぼやけていました。
私はそっと娘の小さな手を握り、「ごめんね、ありがとう、だいすき」と心の中で何度も繰り返し、声をひそめて泣いたのでした。
まとめ
翌朝、目を覚ました娘をぎゅっと抱きしめて伝えました。
「お母さん、あなたのことがだいすきだよ」
娘は嬉しそうににっこり笑って、私の首にしがみついてきます。
子育てをする中では、理想通りにはいかない日がたくさんあります。
余裕をなくして、後悔する日もあります。
それでも、子どもはまっすぐに親を愛してくれる。
あの夜、寝言で伝えてくれた「だいすき」は、私にとって一生忘れられない宝物になりました。
【体験者:30代女性・看護師、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。