これは、筆者の友人N子さんから聞いたエピソードです。おしゃれが大好きなN子さんの母、いわゆる“マダム”は、年齢を重ねても自分らしさを大切にしていました。ある日、そんな彼女が愛用していた口紅を、幼い孫娘がこっそり塗って……思いがけない一言に、大人たちはハッとさせられたのです。

マダムのたしなみは「口紅」

N子さんの母は、70代になっても身だしなみをしっかりと整える素敵な女性でした。「口紅さえ塗っていれば、鏡の中の自分と友達でいられるの」が口癖で、毎朝欠かさずリップを引くのが日課。その姿勢に、N子さんも尊敬の気持ちを抱いていました。

こっそり塗った“小さなレディ”

ある日、3歳の孫娘がN子さんの母の部屋で、そっとお気に入りの口紅を塗っていました。鏡の前で一生懸命背伸びをしながら真似する姿に、思わず笑ってしまったN子さん。でも、「勝手に使っちゃだめでしょ」と軽く注意すると、孫娘はムッとした顔で言ったのです。