義実家帰省を避けていたけれど
Hさんは当時結婚8年目で、旦那さんと2人暮らし。
なかなか子どもが授からないことでお姑さんに嫌味を言われることが多く、旦那さんの実家とはあまり折り合いが良くありません。
そのため年末年始や大型連休には義実家には旦那さんだけ帰ってもらっていました。
しかしある年のGW。義実家の近くで義妹の結婚式があるため、義両親から「たまにはうちに泊まっていきなさい、皆でお祝をしましょう」と言われました。気が進まないながらも義実家に泊まることになったのです。
「義妹ちゃん結婚おめでとう!」
「お義姉さん遠くから来てくれてありがとう」
義妹は素直で明るい女性で、Hさんとも親しくしていたため、Hさんは義妹のために義実家で料理を振る舞ったり義妹の支度を手伝ったりしていました。
いつもは「子どもが産めない嫁なんて」「早く孫の顔が見たい」とチクチク嫌味を言ってくるお姑さんも、義妹のお祝いの日であるからかいつもより嫌味が少な目で、Hさんは少しほっとしていました。
「じゃあ、そろそろお風呂に入りましょう」
食事が終わった後、お姑さんがそう言ったので皆で順番にお風呂に入ることに。
お風呂のお湯が……
「私は最後で構いません」
Hさんは気を遣って最後にお風呂に入ると言いました。
「Hさん、お風呂どうぞー」
最後に入るHさんの直前にお風呂に入ったお姑さんが声をかけてきました。
「はーい、ありがとうございます」
するとお姑さんの口から出たのは意外な発言でした。
「もうお湯がぬるかったし、追い焚きはガス代がもったいないからお湯を抜いておいたわよ。別にいいわよね?」
「え? あ、はい……」
義実家は寒冷地で、夜になるとまだ冷え込みます。冷え性のHさんはお風呂に浸からないとなかなか手足が温まりません。
それはお姑さんも知っているはずなのに、お湯を抜いてしまうなんて明らかに嫁イビリです。しかし文句は言えず、今日のところはシャワーで我慢しようと思いました。