夫の部屋で見つけたもの
母の日を数日後に控えたある日のこと。夫の部屋で、高価そうな美しいネックレスを見つけました。
「きっとお義母さんへのプレゼントだろうな……」
そう思った瞬間、胸の奥がズキンと痛みました。
夫は優しい人ですが、なぜか義母のことをいつも1番に考えているように私は感じていたのです。
妻よりも実家の母親が大事なのかと、モヤモヤした気持ちが募るばかりでした。
膨らんでいく不満
改めて夫の行動を振り返ると、どこか義母を優先しているように見えることが多く、妻としてのプライドも傷つきました。
電話もしょっちゅうしているし、ちょっとした用事でもすぐ駆けつけているような印象……。
「あなたの今の家族は、私なのに」
そう思うたび、気持ちが沈んでいくのを止められませんでした。
ついに爆発した感情
それから数日後、ほんの些細なことで夫と口論に。
その瞬間、これまで溜め込んできた不満が一気にあふれ出してしまいました。
「どうしていつもお母さんばっかりなの!? 母の日とはいえ、あんな高価なネックレスを私に黙ってプレゼントするなんて、信じられない!」
感情が高ぶって、言葉が止まりませんでした。
思いもよらない真実
私の言葉に、夫は驚いたようにしばらく黙ったあと、静かにこう言いました。
「あれは、君にプレゼントしようと思ってたんだ。結婚記念日が近いから、サプライズしようと思って」
その言葉を聞いて、私は自分の早とちりを痛感し、「……ごめんなさい!」と絞り出すように謝りました。
夫は苦笑して「もう、びっくりさせないでよ」と笑いながら、真剣な表情でこう言ってくれました。
「そこまで思いつめてたなんて、気づかなかった。たしかに母さんも大事だけど、今の僕の家族はきみだから。これからは気をつけるよ」
誤解から生まれた出来事でしたが、夫婦の絆を改めて確認できた貴重な経験でした。
もちろんネックレスは、今でも大切にしています。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。