息子が連れてきた相手は……
息子が結婚相手として連れてきたS子さんの第一印象は、正直あまり良いものではありませんでした。派手なメイクと服装、そしてすぐにスマホをいじり始める態度……。
正直「この人で大丈夫なの?」と不安に思いましたし、もっと堅実な女性を選んでほしかったというのが本音でした。
けれど、息子のS子さんへの想いは揺るがない様子。結局、2人の結婚を認めるしかありませんでした。
予想が的中
結婚後、息子たちは我が家の近所に住み始めました。
案の定、S子さんは家事があまり得意ではないようで、夕食が買ってきたお惣菜やレトルトということも多いそう。
息子はS子さんのことを庇っていましたが、私は内心「やっぱり見た目の通りの人なんだ……」と思ってしまいました。
息子の独立
結婚から1年ほどたったある日、息子が会社を辞めて独立したいと言い出しました。
私は猛反対しました。
安定した会社を辞めて、この先どうなるのか全く想像もつきませんでしたし、心配でたまらなかったからです。
しかし、意外にもS子さんは息子の独立に賛成!
「やりたいことがあるなら挑戦すべき! 頑張りなよ」と、明るく息子を励ましました。その姿に驚き、少しだけ見直す気持ちが芽生えました。
驚きの正体
息子の事業は、なかなか軌道に乗りませんでした。
貯金はみるみる減っていき、生活はどんどん苦しくなっていく中、私はS子さんが息子を見捨てて離婚するのではないかと不安になりました。
ところがS子さんは「私が働くから、家計のことは気にしなくていいよ」と、笑顔で言ってくれたのです!
驚いたことに、S子さんは医療系の国家資格を持っていて、すぐに病院で仕事を見つけ、会社員並みの給与を得るようになりました。
S子さんに支えられ、やがて息子の事業も軌道に乗り始め、家計は安定を取り戻しました。
頼りなく見えていたS子さんは、いざという時に迷わず行動できる、芯のある女性でした。私はS子さんを見直すとともに、見た目だけで判断していた自分が恥ずかしくなりました。
同時に、S子さんは息子にとってなくてはならない人なのだということも実感した出来事でした。
本当に、人を見た目で判断するのは危険ですよね。自分の勝手な思い込みで息子夫婦の生活に水を差さないよう、適度な距離感を持つことが大切なのだと痛感しました。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。