ネットスーパーや置き配を利用している方は多いのではないでしょうか。重たい荷物も玄関先まで運んでもらえるし、非対面で受け取れるのも今の暮らしにはありがたい。忙しい日々のなかで、頼れる存在です。
私の知人・香奈さん(仮名)はある日、置き配がきっかけで予想外の時間を過ごすことになりました。しかし、その出来事が彼女の人生を大きく動かしたのです。

数日後、香奈さんは犬の散歩の帰り道で、あの配送員さんと偶然ばったり出会いました。
胸が「ドキン」と鳴り、足がふっと止まります。
あの日のことが、どうしても頭から離れなかったのです。優しい声、爽やかな笑顔──あの瞬間から。

迷いながらも、小さく深呼吸をして、香奈さんは声をかけました。
「こんにちは、あの」
一瞬、彼も驚いたような表情を見せました。
「先日は本当に助かりました。よかったら、お礼をさせてください」

すると彼は、少し照れたように笑って「勤務中なので」と、メモ用紙にLINEのIDを書いて差し出してくれました。

それがきっかけで、ふたりは少しずつ連絡を取り合うようになり、会うたびに距離が縮まっていきました。

今では、週末の買い物のあと、ペットボトルの箱をキッチンまで運んでくれるのが、その彼です。そう、あの日、玄関の向こうで出会った配送員さんが──いまでは、香奈さんの夫になりました。

「人生って、ほんとうに何が起こるかわからないですね」
香奈さんは照れくさそうに笑いながら、そう言っていました。

【体験者:40代・フリーランス、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。