筆者の弟の話です。いとこの結婚式でスピーチを任された弟。
ウケをねらった“内輪ネタ”で場を凍らせてしまい……? いったい何があったのでしょうか?

弟がスピーチを担当することに

いとこの結婚式で、中学まで同級生だった弟が友人代表スピーチを頼まれました。

親族も含め150人ほどが出席する盛大な披露宴。
弟がスピーチすると聞き、私は式の始まりからそわそわしていました。
式が進むにつれて「本当に大丈夫かな」 と不安ばかりが募っていきました。

原稿なし、話し始めたのは「内輪話」

名前を呼ばれ、マイクの前に立った弟。
手には何も持っていません。

「新郎くん、新婦さん、ご結婚おめでとうございます」
と挨拶をしたまでは良かったのですが、次に続いたのは、ウケを狙った子ども時代の失敗談や、昔のエピソードなど“内輪ネタ”のオンパレード。

最初こそ微笑ましく聞いていたものの、話はあちこちに飛び、次第に会場の空気が凍り始めました。笑いも起きず、私たち以外誰も聞いていない状況。

止まらない弟、広がる不安

(これ、ちゃんと締められるのか!?) と、私は弟の幼なじみと二人でヒヤヒヤ。
スピーチ中の弟に向かって「そろそろ終わって!」とサインを送りました。

新郎の母である伯母も私の隣に来て、心配そうに弟を見守る始末。
まさか、こんなに長くなるとは……弟よ、完全にやらかしているぞ!

ようやくスピーチを終えて席に戻ってきた彼を見て、式の最中ながら家族全員が脱力していました。

「なんとかなる」では務まらない

式が終わって帰宅後「原稿はなかったの?」 と聞くと「なんとかなると思ってた」 との返答。
頭の中でだけ考えていたそうで、家族全員で呆れ返りました。

弟よ、結婚式のスピーチは“なんとかなる”で済ませちゃダメな場なのよ。

内輪の話は、その場にいる全員に伝わるとは限らないし、会社関係や親戚には意味不明で気まずくなるだけ。
原稿がないと話はまとまらないし、緊張すれば記憶も飛びやすい。
友人代表としてのスピーチは、新郎の良さをその場の皆に伝えるのが「大切な役目」なのです。

笑いを取るより「誰に」「何を」 伝えるか。
そこを意識してほしい。
なぜなら、新郎新婦にとっては一生に一度のことだから。
そう、弟に伝えた出来事でした。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。