恒例
息子が所属していたテニス部の同級生で、比較的仲が良かったのはO君。
O君は連休になると必ず家族で旅行へ行っていて、部活を休むことが恒例になっていました。
旅行先はいつも海外。
O君のお母さんから話を聞くたびに、羨ましいなぁと思っていました。
息子たちが2年生のときのゴールデンウィークのこと。
このときは連休中に練習試合がいくつかあり、会場までの送迎の当番決めがありました。
O君のお母さんは「悪いんだけどうちは旅行に行くから休むね♡」と言い、O君も試合に参加できないと伝えてきたのですが……。
真相
練習試合の日の夜のこと、息子が急に「Oもかわいそうだよなぁ。」と言い出しました。
私が「何で?」と聞くと、「あいつ、本当は旅行なんて行ってないんだよ?」と言ったのです。
息子曰く「何か、お母さんがすごい見栄っ張りで、小学校の低学年の頃は本当に行ってたらしいんだけど、お父さんの仕事が変わってからはお金がなくて行ってないんだって。それなのにみんなにバカにされるのは嫌だからって、OやOの妹にも口裏合わせるように言って、お土産もどっかで買ってきて渡してるんだってさ。」とのこと。
私は、あまりの真相に思わず「え~っ!」と言ってしまいました。
相談
息子はO君と仲が良かったため、O君が相談してきたのだと言いました。
O君は部活をやりたいのに、お母さんの勝手な考えで練習に参加できないのがとても嫌だったようです。
ゴールデンウィーク明けには、O君のお母さんが「連休中はすみませんでしたぁ♪」と言って、お土産を配る姿が……。
満面の笑みで『海外っぽい』お菓子を頂いたのですが、私は息子から聞いた話を思い出して、もらって良いものかためらってしまいました。
その後
その後もO君は大型連休には必ず「旅行へ行くから」とお休みをしていました。
息子とは「旅行行くなんて嘘ついたら、家から一歩も出られなくなるのにね。」と話していたのですが、O君やO君の妹がちょっと可哀そうだなと感じた出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。