友人Yの話です。義母の露骨な “えこひいき” に気づきながらも、何も言わず笑って受け流す妹。
その姿の裏にある、本当の気持ちとは──。

義母のお気に入りは兄だけ

友人Yの義母には、孫が6人います。
多ければ好みが出るのも自然ですが──明らかにお気に入りは、義姉の息子Aくん。

Aくんはすでに結婚し、家庭もある社会人。
職場が義実家の近くにあるため、通勤時に車を義実家に置き、自転車で通っていたそうです。

しかし最近は徒歩で通うようになり、Yも気づいてはいたものの、特に気に留めてはいませんでした。

壊れた自転車に飛びついた義母

ある日、義母が義姉の家から戻ってきて、うれしそうに話し出しました。
「Aくん、自転車が壊れたんだって。歩いて通うの大変だから、おばあちゃんが新しいの買ってあげるねって言ったのよ」

ちなみに、職場までは歩いて10分もかからない距離。
なのに義母は
「雨の日もあるし、暑くなるからかわいそう」
と、すっかり買う気満々です。

「そうなんですね、良かったですね」
と返したYに、義母は続けました。

「A妹もね、良かったねって言ってたのよ。いい子でしょ?」
と義母は欲しがらないA妹を得意げに褒めたのです。

何も欲しがらないのは「あきらめ」

A妹は、自分にも何か買ってほしいとは一言も言わず、義母と義姉の会話をニコニコしながら聞いていたそうです。

「何も欲しがらないなんて、A妹はえらいわ〜」
と、義母は満足げに語ります。

でもそれ、ほんとうにそうでしょうか?
妹さんの心の内は、きっと別のところにあるのかもしれません。

喜んだふりの裏にあるもの

本人に聞いたわけではないので推測にはなりますが、A妹は、もう義母に期待していないのでしょう。
何を言っても、義母が可愛いのは兄だけ。
高額な物を買ってもらえるのも、兄だけ。
そのことに気づいてしまったから、最初から何も求めないし、求める気も起きない。

「良かったね」
と言うしかない。
そうやって、自分を守っているのだと思います。

義母はそんな心にまったく気づかず、ご満悦。
目の前で堂々と“えこひいき”を見せつけるその無神経さに、そろそろ気づいてほしい──そう思わずにはいられない出来事です。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。