母の日のプレゼント選びに毎年悩んでいました。
「現金でいい」 と言われたけれど、それだけでは伝えきれない気持ちがあって——
驚いて
「えっ、どうして?」
と聞くと、
「お花をもらっても世話が大変だし、いらない物をもらうより自分で好きな物を買った方がいいでしょ? あなたも買い物に時間を使わなくていいし」
と、実に合理的な答えが返ってきました。
ラクになるはずが、モヤモヤは消えず
たしかにその通り。母が欲しい物を自分で選べるし、私も悩まずに済む。お互いにとって合理的で、効率のいい解決策です。
でも、時間をかけて選んだり、贈る瞬間に込める『気持ち』 はどうなるのだろう。
私の想いが、ただの金額に換算されてしまうようで、なんだかさみしくなってしまいました。
「せめて手紙でも添えようかな」 と思ったこともあります。
しかし、以前チャレンジしたときは特に反応もなく、のし袋ごとそっと処分されていた。
その記憶が、今も少し苦く残っています。
それ以来、気持ちを言葉にすることにも、少しだけ臆病になってしまいました。
今年もまた、悩んでいる
今年もまた、母に渡す「現金」 を準備しながら考え込んでいます。
贈り物でもなく、手紙でもないとしたら——私は、どうすれば感謝の気持ちを伝えられるのだろう。
せめて、ほんの少しでも気持ちが伝わるように、今年はかわいい封筒を探してみることにしました。
母の好みではないかもしれないけれど、それでも何もしないよりはいい気がして。
悩むこの時間こそが、母を思う気持ちそのものなのかもしれません。
すぐに答えは見つからないけれど、想い続けることで、きっといつか伝わる——。そう信じて、今年もまた母の日を迎えます。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。