登下校の付き添い
当時小学一年生だった娘。近くに知り合いがいなかったので、入学してから毎日私が登下校に付き添っていました。
少し過保護かとも思いましたが、学校まで徒歩20分の道のりを子供だけで歩かせるのは心配でたまらなかったのです。次第に付き添う保護者が少なくなっていっても、私は必ず娘を学校まで送り届けていました。
耳を疑った話
ゴールデンウイークが過ぎたころ、初めての参観日がありました。
そこで同じクラスのママAさんから「いつもお世話になっています」と声をかけられた私。どうやら子供同士が仲良くしているとのこと。その後世間話をしていく中で、突然Aさんがこんなことを言ってきたんです。
「お節介かもしれませんが、そろそろ娘さんを一人で登下校させてみたらどうですか?」
私は本当にビックリしました。どうしてそんなことを初対面の人から言われなきゃいけないんだろうと……。
娘の本音
でもAさんから理由を聞くと、納得でした。
「娘さんは学校で『本当は私も友達と帰りたい』って話しているみたいですよ。でも他の子が誘っても『ママが迎えに来るから』と断っているようなんです」
私は娘がそんな風に思っているだなんて全く気付きませんでした。
「娘さんが心配なのはよく分かります。でも娘さんをもう少し信じてあげてもいいのではないでしょうか?」
私はAさんに言われてハッとしました。私は自分が安心したいがために、登下校に付き添い続けていたことに気付いたのです。娘がどう思っているかなんて考えたこともありませんでした。
親離れのはじまり
帰宅後、娘から話を聞くことにした私。するとAさんの言っていたことは本当で、「もう一人で大丈夫だよ! だから友達と一緒に帰ってきてもいい?」とお願いしてきたのです。
それからは下校の迎えはやめ、近所に信頼できる友達ができたタイミングで登校の付き添いも終了となりました。
いつまでも傍で見守っていたいですが、子供は少しずつ自立していくものです。少し寂しい気持ちになっても、楽しそうに学校に通う娘の成長を感じました。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。