「愛されているのが当たり前」そんなふうに思っていた関係が、ある日突然終わってしまったら? 優しさに慣れてしまうと、いつの間にか感謝を忘れ、無意識に相手を見下してしまうことも……。今回は、20年以上連れ添った夫婦のリアルなエピソードを筆者の知人A子から聞きました。
愛されて当然。そんな気持ちのまま始まった結婚
A子とB男の交際は、B男の誠実で粘り強いアプローチによって始まりました。
結婚後もA子の望みを叶えようと常に努力を惜しみませんでした。
どんなに小さな願いでも応えようとし、出張先ではA子のために必ずお土産を買って帰るほどの気遣いを見せていたのです。
しかし、いつしかその優しさが当たり前のものに。
A子は、B男が持ち帰ったお土産を無言で頬張りながら、スマホから目を話すこともなく「ありがとう」の一言すら伝えなくなっていたのです。
B男への思いやりを忘れた態度が、徐々に日常の一部になっていきました。
小さなひずみが重なる夜
ある日のこと。仕事で疲れて帰宅したB男に、A子はこう言いました。
「ねぇ、今日の晩ごはん、外食にしてくれない? 作る気分じゃないの」
B男は少しためらいながらも、A子の好きなレストランを予約します。
けれど、帰宅後のA子はスマホを眺めながらこう呟いたのです。
「あぁ、疲れた。やっぱり家で食べたほうが良かったかも」
その夜、A子の口から「ありがとう」も「ごちそうさま」も一度として聞くことはありませんでした。
一方的に愛情を注ぎ続ける関係に、B男の心は少しずつ、すり減っていったのかもしれません。
心の糸がぷつんと切れる瞬間
後日。いつもは欠かさなかった出張先のお土産を持たずに帰宅したB男。「買う時間がなかった」と謝る彼に、A子は苛立ちを隠さずに言い放ちました。
「は? 最初から分かってたでしょ? 事前に計算して動きなさいよ!」
A子の言葉にB男は肩を落としたまま、何も言わず別室へ入っていきました。