GWはレジャーで賑わう一方、年末年始の代わりに実家へ帰省する方も多いですよね。農家の義実家で、恒例の畑仕事を思うと「今年もか……」とため息が出た筆者の友人、美紀(仮名)さん。けれど夫が思い切った行動に出た今回のGWは、驚きの展開が待っていました。

ため息まじりのGWが今年もやってきた

「今年もまた、この季節が来たか……」美紀さんは思わずため息をつきました。
GWといえば、農家の義実家での農作業が毎年恒例。広い畑や田んぼを前に汗だくになるのを思うと、気が重くなるのも無理はありません。

夫が「実家に行こう」と言ったときも、「どうせ毎年、変わらないわ」とあきらめ気味だったそうです。
実家へ向かう車中では渋滞のニュースを聞きながら「今年も農作業で終わる連休ね」と内心つぶやいた美紀さん。ところが、義実家に着いた途端、思わぬ光景が待っていました。

夫のサプライズ始動、予想外の連休へ

「もう終わったよ」義父のひと言に、美紀さんは耳を疑いました。
見渡すと、広い畑も田んぼも、すっかり片付いています。
「え? もう? 本当に?」何度も聞き返す美紀さんに、義父はにっこり。
「早く終わらせてもらったんだ」と返しました。夫がアルバイトを手配し、農作業をすでに済ませていたというサプライズだったのです。

さらに夫は、義両親には金婚式祝いで温泉宿をプレゼント。
しかも「僕たちの結婚10年目のお祝いだからね!」と、美紀さんの顔を見て照れくさそうに仕切りました。
続けて「だから、みんな支度して! せっかくだし、思いっきり楽むよ!」と、夫は場をまとめるように声をかけたのです。思いがけないサプライズの連続に、家族みんなが笑顔になります。

美紀さんは「夫くん、やってくれるじゃん!」と喜びました。胸がドキドキして、これから何が起きるんだろうと期待が膨らみます。いつもの連休が、思いがけないサプライズ旅行に変わったのです。

義母の知られざる顔

車を走らせた先は、義実家からほど近い風情ある温泉宿でした。到着すると、義母は目を丸くしながら「あらまあ、すごいわねぇ……」と声を弾ませました。働き者の義父も「たまにはいいか」と笑みをこぼします。

温泉宿に向かう支度を整えた義母は、おしゃれをしていてひときわ華やかでした。ほんのりメイクに上品な装いで、農作業姿とはまるで別人です。
夕食では会席料理に日本酒も進み、自然と会話がはずみます。「せっかくだから、二次会に行こうか」と夫が声をかけ、みんなで宿のスナックへ。

義母がマイクを手に取ると、美紀さんは驚きました。農作業姿からは想像もできない、美しい歌声が響きます。
「母さん、この辺じゃ有名人だったんだから……」と義父が笑い、夫も「えっ、初めて聞いたんだけど!?」と声を上げました。
照れ笑いの義母は、「実は若いころは女優を目指してたのよ」と明かします。さらに「映画のオーディションで最終選考まで残ったこともあるの」と続け、義母の驚きの過去を知ることになったのでした。

夫のサプライズがつなぐ、家族の笑顔

翌日、実家に戻ると、庭では義妹と友人たちがバーベキューを楽しんでいます。義妹は「もう婚活も無理かも」なんて笑いながら話していた矢先、なんと同級生から突然プロポーズされ、OKしたのです。
「おめでとう!」と美紀さんも声を上げ、思わず拍手がわき起こりました。その瞬間、BBQは自然と婚約パーティーのような賑わいに。家族や友人たちの笑顔が広がり、祝福の輪が次々と大きくなっていきます。

夫の粋な計らいが、喜びの連鎖となって家族みんなに広がった特別なGW。美紀さんにとっても、忘れられない思い出になりました。

【体験者:40代・会社員、回答時期:2024年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。