筆者の友人・S香は高校時代から付き合っていた彼氏と結婚を考えていました。しかし、S香の親はS香の彼氏が大学へ進学しないことを聞くと、結婚に大反対! S香が大学卒業後に結婚を決めた時も「あいつと結婚するなら結婚式には出ない!」と言うほど、反対していました。

結婚への反対

私の両親が結婚に反対した理由は、彼に少々やんちゃなイメージがあったこと。
当時流行していた髪型や派手な服装が気に入らず、私が「とても優しくて頼りがいのある人なんだよ。」と説明しても、聞き入れてはくれませんでした。

結婚後も両親とほとんど連絡を取らない状態が続いていたのですが、ある日、母方の叔母から母が入院したことを聞きました。
孫にも会わせていないことを気に病んでいた私は、娘達を連れて母の病院へ。
母は思ったほど重症ではなかったのですが、入院は長引くかもしれないと言われたのです。

実家の困窮

すると、お見舞いに駆け付けてくれた叔母が「S香ちゃん(私)、お母さんの入院費出せる?」と聞いてきました。
叔母によると、父の勤めていた会社が経営悪化によってリストラを敢行。
父はリストラの対象者になったと言うのです。

もともとあまり裕福ではなかった実家はあっという間に困窮。
母の入院費にも困っている状態であることがわかりました。
私はすぐに夫に相談。
夫はあんなにも結婚を反対された両親なのに、二つ返事でOKを出してくれました。

雪解け

その後、母の入院は3ヶ月にも及び、退院後も定期的な通院が必要になりました。
私達は退院時に久しぶりに父とも再会。
入院費を全て負担した私達に、泣いて頭を下げていました。

母は「こんなにお金を出してもらって大丈夫なの?」と聞いてきましたが、実は夫は現在、建築会社の社長になっているのです。
高校卒業後に勤めた会社で認められ、先代社長の右腕として経営のノウハウを学んだそうです。
会社の業績は順調で、今では社員も100人以上抱える規模にまで成長していました。

その話を聞いた両親は、夫に深々と頭を下げて謝罪をしました。
夫は「自分にできることがあれば何でも言ってください!」と言い、母の入院がきっかけで長い期間抱えていたわだかまりがなくなっていったように感じました。

その後

母は孫達に会えたことも功を奏したらしく、順調に回復。
ある日「私達があなたにいろいろ教えなければいけない立場なのに、見た目や学歴だけで判断して結婚に反対していたなんて。本当にごめんなさい。」と謝ってくれました。

【体験者:40代女性・主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。