行き過ぎた管理
私は、息子のすべてを知っていないといけないと思っていました。
息子が小さい頃は問題なかったのですが、大きくなっても「すべてを把握していたい」と息子を問い詰めることが多くなり、息子に嫌な顔をされることもありました。
友達との関係や学校での出来事・異性関係・バイトのことなど、いい加減子離れしなければいけない年齢になっても、私はさまざまな探りを入れていたのです。
息子のスマホにはGPSを入れ、常に居場所を特定。
息子が寝ているときにスマホを見たり、パソコンに勝手にログインして検索履歴やメールを確認していたり……今思えば、ちょっと異常だったなぁと思います。
離婚
息子が成人した年、夫に離婚してほしいと言われて、離婚をしました。
離婚の理由は私の息子に対する過干渉。
何度言ってもわからない私に愛想を尽かした夫は、子どもが成人するのを待って離婚を切り出したそうです。
その頃の息子は、高校を卒業してからいったん就職はしたものの、すぐに辞めてしまい、引きこもり状態。
何でもかんでも私が管理してきたため、息子は自分で対応することができない大人になってしまっていたのです。
所有物
高校卒業後の就職先も、息子が自分で決めたのではなく、私が知人に頼んで入れてもらった会社。
異性関係も彼女ができれば私に必ず会わせ、ダメ出しをすることもありました。
身の回りのことも私が全て行っていたため、20歳を過ぎても独り立ちすらできなかったのです。
友人に相談すると、「息子を所有物のように扱ってきたのが原因なんじゃない?」と言われてしまいました。
また別の友人には「他人のアドバイスを聞けないうちは、何も変わらないよ。」とも。
自分ではそんな風に思ったことはなかったので、かなりショックでした。
後悔
息子は私のせいであんな状態になってしまったのかと思うと、後悔してもしきれません。
もう少し、周囲のアドバイスや忠告をしっかり聞いておくべきだったと今さらながら悔やんでいます。
謝りたいと思っても話してもくれない息子。
私のしてきたことは、息子の人生を壊してしまったのかもしれません。
【体験者:50代女性・パート、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。