結婚とは、別々の環境で過ごした二人が一緒になること。なので、習慣が違って戸惑うことも多いでしょう。
私と夫も、そんな『習慣の違い』に悩んだ夫婦でした──。
地域に根差した暮らしで育った私
私は親戚も多く、近所づきあいがとても密な地域で生まれ育ちました。
道を歩けば、自分は知らない人でも「〇〇さん(両親の名前) の娘さんね」 と声をかけられたり、お魚や野菜を分けてもらったりするような環境。
「どこの誰にもらったの?」 と聞かれれば、見た目の特徴だけで「〇〇さんね」 と特定できるような、人と人とのつながりが濃い地域柄でした。
お礼を言わない夫に、モヤモヤ
そんな私とは対照的に、夫は近所づきあいの少ない場所で育ったようで、人から物をもらうこともほとんどなかったと言います。
そのため【次に会ったときにお礼を言う】 という文化や、その必要性自体がピンとこなかった様子。
一緒に私の実家に帰省するたび、親戚からたくさんの手土産や食べ物をもらうのですが、夫は黙ったまま。
私はそのたびにモヤモヤした気持ちを抱いていました。
「ありがとう」の練習を提案
とはいえ、私にとっては大切な親戚づきあい。
無視するわけにはいきません。
そこで思いきって夫に「前回、誰から何をもらったか」 を事前に伝え、帰省前に一緒に『お礼の練習』 をしてみることに。
夫は最初「なんでそこまで?」 と戸惑いを見せましたが、少しずつ理解を示し、ぎこちなくても「ありがとうございます」 を伝えようと努力してくれました。
夫の変化と、今の「ありがとう」
最初は小声だったお礼も年々自然になっていき、今では自分から「ありがたいね」 と言うように。
「こういうのって、当たり前じゃないんだな」 と気づいたのか、いただき物がどれだけ生活の支えになっているかも、しっかり実感してくれるようになりました。
「ありがとう」 は、言うほうも言われるほうも気持ちよくなれる言葉。
今では、私が陰から「この間〇〇をもらったよ」 と言う前に
「この間はおいしいおみかんをありがとうございました! 友達にもおすそ分けしたら喜んでくれたんですよ」
と、夫のほうから自然にお礼を伝えられるようになりました。
そんな姿を見るたびに「あのとき練習してよかったな」 と、しみじみ思うのです。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。