警備員の機転
私のお腹はもうかなり大きく、入口から遠い場所に駐車して歩いていくのはかなり負担でした。
しかし、どうしてもその日に必要な買い物があったため、仕方なくスーパーまでやってきたのです。
「どうしよう。別のスペースに停めて、歩いていくしかないかな……」と困っていると、近くで一部始終を見ていたらしい警備員が私の車の窓越しに声を掛けてくれました。
そこで事情を説明したところ、すかさず男性に話をしに行ってくれました。
「すみません、あちらの女性が先に車を停めようとされていたようなのでお譲りいただけますか」
男性は「車椅子マークついてるだろ!」と逆ギレしましたが、警備員は冷静に「たしかにマークはついていますね。でも、今日は車椅子の方は乗っていますか?もしいらっしゃらないなら、 こちらの妊婦さんに譲っていただけませんか」と辛抱強く説得してくれているようでした。
譲り合う心を忘れずに
しばらくして、ついに男性は渋々ですが車を移動させ、私は無事に優先スペースに駐車することができました。
警備員の機転で安心して買い物を済ませることができ、ホッとしました。
妊婦なので優先されるのが当たり前だとは思っていないため、結果として駐車スペースを譲ってくれた男性には感謝しています。
しかし、今回の警備員さんの優しさにはより心を打たれました。私も困っている人を見かけたら、ちゃんと助けてあげられる人になりたいと痛感した出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。