腕を痛めた祖母
祖母は3年ほど前にひょんなことで腕を痛めてしまいました。
腕を痛めた直後こそ、リハビリや通院を頑張っていましたが、なかなか症状は改善されず……。祖母はだんだんと消極的になっていったように感じます。
外出
ある日、祖母から「孫の新居祝いを持って行きたいから、連れて行ってくれないかい?」と、頼まれました。
祖母の言う孫とは、私の妹のことです。
ここのところ外出にも消極的になっていた祖母だったので、気分転換にもなるだろうと、ドライブがてら妹の新居までお出かけすることに。
移動中の車内でも祖母は「腕が悪いからね、お料理もできなくなってしまったし、お風呂に入るのも一苦労なんだよ。今後はどんどんできないことが増えていくんだろうね。」と悲しそうに話していました。
そんな祖母に私は「きっとよくなるよ。」と気休めの言葉をかけることしかできませんでした。
おばあちゃん、抱っこして~
妹の家に到着し、しばらく雑談をしていると、妹の2歳の娘(祖母にとってはひ孫、私にとっては姪)が、祖母に「おばあちゃん、抱っこして~!」とせがんだのです。
腕を痛めている祖母に10kg以上体重がある姪の抱っこはきついだろうと、最初のうちは妹が「おばあちゃんは手が痛いからママが抱っこするよ。」とかわしていました。
抱っこ
最初は妹の抱っこで紛らわせていたものの、姪はその後何度も祖母に「抱っこして~。」とおねだり。
すると祖母は姪に向かって「おいで。」と手を差し出し、姪を抱っこしたのです!
姪は満足気に微笑み、祖母は抱っこができたという事実で失っていた自信を取り戻しました。
長期間にわたる腕の痛みで消極的になっていた祖母ですが、姪の言動で行動する勇気を得ることができ、子どものパワーの強さに感動せずにはいられませんでした。
【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。