私たちは日々、様々な人々とすれ違いながら生活しています。 ほとんどの人とは関わりなく過ぎていきますが、中には思いがけない出会いから物語が生まれることもあるようです。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。
予想外の真相
その時、1台の車が近くに止まり、中から私と同年代くらいの女性が降りてきました。
「お父さん! また勝手に出てきて……ご迷惑をおかけしてすみません!」と、女性は私に深々と頭を下げました。
事情を聞くと、男性はまだ60代ですが認知症を患っているとのことでした。
普段はしっかりしていることも多いそうですが、時々自分の名前や家族の顔が分からなくなってしまうようです。
よく見ると、たしかに私は男性の娘さんと背格好が似ていました。男性は私を尾行していたのではなく、自分の娘だと勘違いしていたのです。
思わぬところから始まった関係
私はふと思いつき、娘さんに連絡先を交換することを提案しました。
「もし、またお父さんを見かけたら連絡します」と伝えると、娘さんは安堵した表情を浮かべ、スマホを取り出しました。
それ以来、男性に話しかけられるたびに、私は娘さんに連絡するようにしています。
時には、私が家まで送り届けることもあります。
最初は恐怖感を覚える出来事でしたが、事実はそれとは全く異なるものでした。
【体験者:30代女性・接客業、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。