これは筆者の知人A子から聞いたエピソードです。A子は幼い頃から、母にあることを隠されていました。それは、家が貧しく、本当は母が自分のために多くを犠牲にしていたということでした。しかし、ある日、母の秘密を知ったA子は、涙を流さずにはいられませんでした。いったい何があったのでしょうか?

母の口癖は「大丈夫」

A子が小さい頃、母はいつも笑顔で「大丈夫、大丈夫」と言っていました。どんなに苦しいことがあっても、母は弱音を吐かず、明るく振る舞っていました。

「お金がなくても、お母さんが何とかするからね!」

母はいつもそう言って、A子の学費や習い事の費用を用意してくれていました。

A子は、そんな母を誇りに思いながらも、「どうしてこんなに頑張るんだろう?」と不思議に思っていました。

母の秘密に気づいた日

A子が大学生になった頃、母の体調が悪化しました。働き詰めだった母は無理をしすぎて、ついに入院することになりました。

ある日、家の押し入れを整理していると、一冊のノートを見つけました。そこには母が毎月家計簿をつけており、驚くべき事実が書かれていました。

「A子の学費を捻出するために、自分のご飯は一日一食に」
「新しい靴がほしいけど、A子の塾代を優先」

母は自分の生活を切り詰め、A子の未来のためにすべてを注いでいたのです。

母の言葉に涙が止まらない

急いで病院に行き、A子は母に問いただしました。

「どうしてこんなことを……?」

すると母は、少し笑ってこう言いました。

「だって、A子には幸せになってほしいから。お母さんが苦しいなんて思わせたくなかったの。」

A子は、涙が止まりませんでした。

「お母さん、ごめんね」

今まで自分のためにどれだけの犠牲を払ってくれていたのか、A子はその時初めて知ったのです。

母の愛に感謝して

それからA子は、母のためにできることを考えました。バイトを増やし、学費の負担を少しでも減らそうとしました。そして何より、母にもっと感謝の気持ちを伝えようと決意しました。

「お母さん、今までありがとう。今度は私が支える番だよ。」

A子は母の手を握りしめ、心の底から感謝しました。母の愛は、どんな形であれ、決して変わらないものなのだと実感したのでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。