職場で仕事を教えるのは、とても難しいものです。特に年代の異なる新入社員には、何をどう伝えればわかってもらえるのか、悩んだ経験はありませんか? これは筆者が異次元の新入社員と出会ってしまったお話です。

教育係

私は以前コールセンターに勤務し、新人教育を担当していました。
当時私が担当していたのは、お客様センターの対応業務。
委託を受けた外部企業の業務なので、しっかりと担当する企業のサービス内容などを理解する必要がありました。

新人にはかなり難しいと思われる業務を、新入社員のUに教えることになったのです。

地獄の研修

研修が始まると、Uの態度に私は驚かされました。
まず、復習をしていないため、教えたことをほとんど覚えていないのです。
さらに、研修中1対1であるにもかかわらず、居眠りをする始末……。

あまりのひどさに、私は上司にUとの面談をお願いしました。
すると上司は面談後、私に「眠いのに無理やり起きてるから頭に入らないって言ってるんだけど。」と一言。
私が「この業務には向いていないんじゃないですか?」と言うと、上司は「他に行くところがなくてうちの部署に来たんだ。だから何とかしてほしいんだよ。」と頭を下げたのです。

クレーム

その後、研修はいったん終了し、実務で鍛えることに。
「何かわからないことがあったら『少々お待ちください』と言って先輩オペレーターに替わってもらう」ということを絶対条件にしました。
Uは「私は新人なのでわかりません」「はぁ」など禁止されている対応を繰り返していたので、何度も注意したのですが、一向に成長が見られませんでした。

そしてついにある日、Uの態度に腹を立てたユーザーが、クライアントへ直接クレームを入れてしまう事態に!
上司はクライアントから責められ、終いには契約が終了になってしまいました。

無敵の新人?

契約終了を受けて、上司と話したUは「わからないって言ってるのに、どうしてこの仕事をやらせるんですか?」と言ったそうです。
上司は会社に相談し、Uの異動をお願いしたのですが、受け入れ先がなく、私が退職するまでUは備品の補充や掃除などを行っていました。

確かに人には向き不向きはありますが、どうしても理解できない無敵の新人だったと思っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。