大人になると、「常識」とされるマナーに敏感になりますよね。特に冠婚葬祭の場では、「非常識なふるまい」と見なされることを避けるため、細心の注意を払うもの。でも、そのマナー、本当に大事なポイントを押さえていますか? 今回は筆者の知人A子から聞いた、葬儀であった出来事をご紹介します。

葬儀での「非常識」な服装?

親戚の葬儀に参列したときのこと。喪服姿の親族たちに囲まれる中、1人光沢のある黒いワンピースを着た若い女性がいました。その瞬間、親族の間で小さなざわめきが起こります。

「あの服、ちょっと派手じゃない?」「社会人なら、最低限のマナーは知っていて当然でしょう?」

そんな声を聞いて、私も同じように感じました。冠婚葬祭のマナーは、場の空気を乱さないためのもの。だからこそ、ふさわしい服装をするのは当然だと思ったのです。

ルールを守ること=正しいこと?

「マナーを守らないなんて非常識だよね」

周りの親戚に同調した私。でも、そのときそばにいた叔母がこう言ったのです。

「でも、彼女にとって初めての葬儀かもしれないわよ。突然の訃報で、慌てて駆けつけたのかもしれないし」

その言葉に、私はハッとしました。たしかに、自分が初めて葬儀に参列したときは、右も左もわからず、母に助けてもらいながら準備をした記憶があります。もしかすると、彼女も戸惑いながらこの場に来たのかもしれません。