A子が話してくれました。
友達と群れないわが子にモヤモヤ……
高校生の長女は友達と遊びに出かけるのに、中学生の次女はいつも1人。休日も家で過ごすことが多く、親としては「孤立しているのでは?」と気になってしまいます。「学校は楽しい?」と聞いても、次女は「普通」とそっけない返事しか返ってきません。
親としては、もっと友達と遊んでほしいと思うものの、本人は特に気にしていない様子。このままでもいいのかとモヤモヤした気持ちになっていました。
無理に合わせることがストレスに
あまり口を出すのはいけないと思いつつも、次女に尋ねてみました。
「ねえ、◯◯ちゃんとは最近遊ばないの?」
すると、「うん。別に遊ばなくてもいいかなって」と次女。
「でも、ずっと1人でいて寂しくないの?」とさらに聞くと彼女はしばらく黙った後話してくれました。
「うーん、別に。みんなの話、悪口とか噂話ばっかりで疲れちゃうんだよね」
そして続けて、
「無理に合わせるのもしんどいし、家でイラスト描いてる方が楽しいよ」
次女のこの言葉を聞いたとき、私はハッとしました。
「友達と一緒にいることが楽しい」というのは、私の思い込みだったのかもしれません。次女にとっては、無理に付き合うよりも、自分の好きなことに没頭する時間の方が大切だったのです。
親の価値観を押し付けてない?
大人でも、気の合わない人と無理に付き合うのはストレスになります。なのに、子どもは「友達と遊ぶのが普通」と求めてしまっていたのです。次女の話を聞いて、「この子なりの楽しい時間を大事にしてあげよう」と思えました。
その後、私が以前のように「友達と遊ばないの?」と聞かなくなったことに、次女は気づいていた様子。
口には出さないものの、「お母さん、分かってくれたんだ」と安心していたのかもしれません。親の期待に応えなければ、と思うプレッシャーがなくなり、以前よりものびのびと過ごしているように見えました。
子どもにとっての幸せを大切に
今回の出来事を通して次女が本当に大切にしているものに向き合えた気がします。
子どもの幸せの形は、1人ひとり違います。友達とにぎやかに過ごすことが楽しい子もいれば、1人の時間を大切にしたい子もいます。大事なのは、その子が自分らしくいられることなのかもしれません。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。